
2022-2023年度 会長 久禮三子雄
「ロ−タリ−の夢 実現へ一歩づつ」
年度初めに当たり2022−2023年度会長という事でご挨拶させていただきます。
国際ロータリー会長 ジェニファ− E.ジョ−ンズ氏は今年のテ−マをイマジン・ロ−タリ−としました。
出典はジョン・レノンとオノ・ヨ−コが作った名曲イマジンです。
ベトナム戦争(1955-1975)があり西側世界で若者の反戦運動が盛んであった1971年に発表されました。
あの時代いくつも作られたプロテスト・ソング反戦歌と云うことですが、9.11以後の米国では放送自粛になったと聞きます。
会長がこのテ−マを選んだのは時期からしてウクライナ戦争以前のことでしょう。
想像するに若い頃世界平和を願ってこの楽曲に強い感銘を受けられ、いまRI会長として世界に臨まれるとき、ロ−タリ−の価値観・世界観の実現を会員に向かって訴える言葉として選ばれたのだと思います。
いままでのRI歴代のテ−マは正面からロ−タリ−の価値観・世界観を直截に捉えた言葉が多かったと思いますが、彼女はジョン・レノンを介して世界規模の反戦や貧困からの脱出、疫病の克服と云ったロ−タリ−の価値観の実現を訴えようとしています。
会長の言葉として、
「この歌詞は、行動への呼びかけであると私は捉えます。
私たちは皆、夢があります。
しかし、そのために行動するかどうかを決めるのは私たちです。
ロ−タリ−のような団体がポリオ根絶や平和の実現と云った大きな夢を抱くなら、それを実現させる責任は自分たちにあります。
想像してください、私たちがベストを尽くせる世界を。(中略)昨日の事を想像する人は居ません。
それは未来を描くことです。
ポリオのない世界を想像してください。
みんなが安全に水を使える世界を想像してください。
疾病のない世界、すべての子供が読むことの出来る世界を想像してください。
優しさ、希望、愛、平和を想像してください。
だからこそ「イマジン ロ−タリ−」がテ−マとなります」と述べています。
会長はまた、ロ−タリ−のもつ「多様性Diversity,公平性Equity,インクル−ジョンInclusion(DEI)」を強調しています。
国や地域によって文化、価値観、規範が異なるがその違いは尊重されなければならない、不公平は世界中に存在する、それらを包摂して相互理解を深めて、各クラブがロ−タリ−運動に邁進しましょうと云うことだと理解します。
2022−2023年度2640地区のガバナ−は森本芳宣氏です。
和歌山北RC所属で職業分類は会計事務所主宰です。
2022−2023年度地区基本方針として「行動し、実践することにより、”ロ−タリ−の輪”を広げよう」を標榜し、ロ−タリ−の価値観に従いDEIを推進するために7つの重点分野を推進しましょうと掲げられました。
◎平和の推進 ○水と衛生 ○母子の健康 ○教育の支援 ◎地域経済の発展 ◎疾病との戦い ○環境
地区の各クラブは地域の実情に合わせて各々の課題に取り組まなければなりません。
このようにテ−マを並べてみますと、ジョンレノンのプロテストソングに託してロ−タリ−の理想を語る初の女性会長、一方地区ガバナ−は経験の積んだ実務家らしく手堅い標語を選ばれました。
それぞれの個性が表現されているようです。
さて、私共岸和田RCはRI会長・地区ガバナ−の掲げられた方針を承け 2022−2023年度タ−ゲットを「ロ−タリ−の夢、実現へ一歩づつ」としました。
ロ−タリ−の夢とは何でしょうか。
ジェニファ− E.ジョ−ンズRI会長が「イマジン ロ−タリ−」の言葉に託した戦争・貧困そして疫病のない世界がロ−タリ−の価値観であることを表明されました。
岸和田クラブは1954年の創立以来、DEIとして表現されるようなロ−タリ−の理想、価値観、世界観を普及するために地域で活動して参りました。
時世の変化、社会の変動があり、様々な紆余曲折があり、組織の脆弱化を乗り越えなければならない時期にあります。
時勢の変化があろうともRI会長が示したロ−タリ−の価値観・世界観は普遍性を持つものです。
困難な時期にあってもロ−タリ−の夢を実現するために一歩づつ歩んで行きたいと思います。
2年前の卓話でロ−タリ−クラブの誕生について調べてお話ししたことがございましたが、世界的な奉仕団体はロ−タリ−の外にもライオンズクラブやキワニスクラブなどもありますが、ロ−タリ−クラブに特徴的なのは職業奉仕であり、"I serve“の精神だと言われます。
20世紀初頭のシカゴで誇大広告と詐欺的取引の横行する商道徳の乱れたなかにあって少数の顧客本位の商人達が確実な固定客の厚い層を掴んでいることから、シェルドンはロ−タリ−運動の「奉仕」の概念を得たといわれています。
ロ−タリ−クラブの会員相互の相互扶助が「職業奉仕」と名を変え、「一業種一会員制」を執ることから各ロ−タリアンがロ−タリ−運動の本質である倫理観と商道徳実践は個人的奉仕によって、自己の係わる業界で成し遂げなければならないと考えられます。
”One profits most who serves best. 最もよく奉仕する者、最も多く報いられる”
これはア−サ−・ヘレディック・シェルドンが提唱した職業奉仕の神髄を突いたモット−として有名です。
それではロ−タリアンの職業奉仕とは何なんでしょうか。
2680地区PGの田中毅氏の著作に詳しいのですが、引用してお話しします。
田中PGによれば、自らの事業に関連する関係者、顧客・従業員そして取引相手、を対象として行う全ての活動を総称して職業奉仕と呼ぶそうです。
職業奉仕をvocational serviceと宗教色を付けたのは英国のグル−プだといわれます。
vicationは天職、神が選ばれて与えられた職業と云う事になります。
シェルドン自身はbusiness,occupationの語を用い、ロ−タリアンは全て職業人であるから、敢えて職業奉仕の言葉を使わずに奉仕理念を説いたと言われています。
ロ−タリ−運動の勃興と背景にプロテスタンティズムの存在を指摘する見解は多いのですが、シェルダン自身は「神」と云う言葉を使わず経営を説いたようです。
このように、職業奉仕の概念はロ−タリアンにとってロ−タリ−活動の基本理念であると信じて活動してきたのが日本のロ−タリ−であると信じておりました。
「ロ−タリ−の友 6月号」に「規定審議会から見えてくるロ−タリ−の方向性」という特集記事がございました。
前回の2019年規定審議会では職業分類の制限が廃止されました。
既に2001年の規定審議会でポ−ル・ハリス以来の一業種一名の原則が緩和され、同一職業分類5名、または51名以上のクラブでは会員数の10%まで認めると緩和されていました。
それでもやはり職業分類の制限廃止は古くからの慣行になじんできた古参会員には驚きを持って迎えられ、さるパスト・ガバナ−は「それでは無職やアルバイトも入れるという事か」と嘆かれました。
ロ−タリ−は職業奉仕を通じて社会貢献する人びとの集うところであり、職業人であることがロ−タリアンであることの最低条件であると信じられてきました。
これでは他の奉仕団体と代わらなくなってしまうと思われた方も多かったと思います。
変わりゆくロ−タリ−はコロナ禍によってもまた、一層変化を余儀なくされました。
かつてE-clubが提唱されたとき、ロ−タリ−の例会は実際に食事をともにして語り合うのが例会の醍醐味だとして古き良き時代を知る会員ほど否定的でありましたが、このコロナ禍によってオン・ライン例会が認知され普及してしまいました。
ロ−タリ−も代わらなければ生き残れないと云う事でしょうか。
先日、6月18日ですが、インフォ−マル・ミ−ティングで「ウィズコロナ 新しい生活習慣とロ−タリ−活動」をテ−マに話し合っていただきました。
今の会員の声と云う事で拝聴いたしましたが、岸和田RCを現すものは何かと云えばそれは「伝統」であると云う思いであると感じました。
地域社会を担う人びとの奉仕を通じての社交の場であったロ−タリ−が、社会の生活様式の変化の中で変質してきている、しかし、社会への奉仕と会員の親睦はロ−タリ−の基本であり古くからの良き慣行は守っていきたいとの思いを聞かせていただきました。
この思いはこの十年の年月を経ても何も変わっていません。
来年は創立70周年という事になります。
本日より一年間、牧村幹事を初めとして役員理事の皆様、各委員長様、会員の皆様に助けていただき会長職を全うしたいとの思いでございます。
宜しくお願い申し上げます。
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